「北欧ゴリ押し」ウォッチ

「北欧を見習え」というチープなゴリ押しにうんざりしていませんか?

Note 始めました。

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Hatenablog や Wordpress をやめる予定はありませんが、今後どうするか模索しています。

 

以下が、Noteの初投稿です。よかったらご覧ください。

 

"世界一お母さんにやさしい国" ノルウェーから逃げ出す母親たち その1

note.com

"世界一お母さんにやさしい国" ノルウェーから逃げ出す母親たち その2

note.com

 

 

マリン政権誕生で過熱するフィンランドのフェイクニュース合戦

大使館が否定してるのにフェイク情報を拡散する先生たち1」「ウソが多すぎるフィンランド情報」など過去の記事で、フィンランド情報にはたいへんウソが多いことを再三書いてきましたが、昨年マリン政権が誕生して以来、メディアによるフェイク報道合戦が過熱しているようなので、以下に紹介します。

 

マリン首相の霊言インタビュー

まず、今年1月に、マリン首相が週休3日(週4日労働)を提唱したというフェイク・ニュースが流れました。覚えている人もいるでしょうか?

 

 

しかし、これは彼女が首相になる前の過去の発言であり、フィンランド大使館もたいへん困惑しています。

 

 

また、3月には本人に会ってもいないのにマリン首相の独占インタビューをでっち上げて掲載する強者が現れました。

 

 

○○総裁もビックリ。この霊言インタビューは、世界的なフェイク報道合戦の熱気を感じさせるエピソードですね。

 

リベラルの広告塔としてのフィンランド

2月以降、どこのメディアもコロナで大騒ぎしていますが、フィンランドのコロナ対策の報道ももちろんありました。以下のガーディアンの報道は、コロナ情報をPRするため、従来のマスコミだけでなくSNSのインフルエンサーも使う、というフィンランドの対策を絶賛しています。

 


この報道自体はフェイクではない(と思う)のですが、フィンランドの現地紙の報道によると、国民はコロナ情報に関してSNSではなく従来のマスコミの方を遥かに信頼している、とのことです。つまり、この対策はちっともうまくいってないんですね。

 

 

で、このような顛末をガーディアンが報道したかというと、してません。
フィンランドに関する報道では、結果が出てないのにいきなり大絶賛し、失敗したと判ると報道しなくなるので、何でも成功しているかのような誤解がまかり通っていることが多いような気がします。
もっと酷い例を挙げましょう。

 

同じく4月初め、ニューヨークタイムズフィンランドの緊急物資備蓄を大絶賛しました。

 


世界各国がマスクや防護服を求めて奔走する中、フィンランドは備蓄があるから大丈夫、というお話しです。

 

しかし、実際は、これらの備蓄品は古くて使えないことがすぐに判明します。そこで慌てて中国から調達したらそれも粗悪品、しかも怪しい業者を使ったため逮捕者がでたり、担当者も辞任・・・というひどいスキャンダルに発展しました。

 


で、こうした顛末をニューヨークタイムズが報道したかというと、もちろんしていません。従ってフィンランドの緊急備蓄がサクセス・ストーリーだと思ってる人も多いでしょう。案の定、この記事を引用するメディアも出てきて、フィンランドの成功神話が強化されました。


実際、フィンランドのコロナ対策に関する記事を書くなら、緊急備蓄という味気ないものを取り上げるより、その後のドタバタスキャンダルを書く方がよっぽど面白く興味深い記事になるはずです。でも、海外マスコミはそういう記事は載せません。
なぜか?リベラルの広告塔としてマスコミが大切に育ててきたフィンランドのイメージが傷つくからです。


日本のマスコミも海外のマスコミも、フィンランドのイメージダウンは許さない、という点では意見が一致しているようです。リベラルやポリコレなど一定の価値観を読者や視聴者に押し付けるときの広告塔をどこも必要としている、ということでしょう。

 

フィンランド副首相の汚職&辞任ニュースに世界が沈黙

 

フィンランド副首相の辞任に関する報道(というか沈黙)は、世界のマスコミがこの広告塔をいかに大切にしているかを端的に示していると思います。


昨年12月、フィンランドでマリン政権が発足したとき、世界中のマスコミが大絶賛しました。 "首相も主要閣僚も若い女性ばかりでステキ!" というような報道は、ネットで検索すると大量に出てきますね。

 

 

ところが、先月(6月)初め、公金の使い込みがバレてKulmuni副首相兼財務相(上の画像の左から2番目)が辞任しました。政権のナンバー2の辞任ですから決して小さなニュースではありません。

 

 

しかしながら、この副首相の汚職&辞任について、海外ではBBCがやロイターがかろうじて報じたぐらいで、他のメディアはほぼ完全に沈黙。ガーディアンやニューヨークタイムズも報道していません。上記のような怪しいコロナ対策を報じておきながら、副首相の辞任を無視するって、おかしいでしょ?でも、これが海外メディアなのです。

 

日本のメディアはもちろん沈黙。特筆すべきは毎日新聞で、昨年この Kulmuni(クルムニ))副首相にインタビューしておきながら、今回の辞任についてはダンマリです。

mainichi.jp

 

"事実の報道などどうでもいい、フィンランドのイメージダウンを絶対阻止するぞ"、という強い意気込みが伝わってきますね。

 

ところで、後任の副首相兼財務相は男性のヴァンハネン氏になりました、ヴァンハネン氏は首相経験者であり、2m近い大男なので主要閣僚の集合写真は以下のコラージュのようになることが予想されています。

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ヴァンハネン副首相と女性閣僚

 

しかし、ヴァンハネン氏が就任してから一カ月以上たつのに新しい閣僚の集合写真はなぜかまだ発表されていません(7月半ば現在)。政府が公表しないのかマスコミが報道しないのかよくわかりませんが、上記のようなコラージュ写真だと、他の女性閣僚がヴァンハネン副首相の部下みたいに見えてしまうので、"若い女性がリードするフィンランド"、というイメージをさぞかし傷つけることでしょう。
イメージダウンを避けたいなら公表しない方が無難かもしれませんね。

 

こういうわけなので、未だにフィンランドの主要閣僚は女性ばかりだと思っている人は多いでしょう。北欧の政治家が汚職で辞任するなんて夢にも思わない、という人も沢山いるはずです。私達はそうしたイメージを自分自身の考えだと思い込んでいますが、往々にしてメディアの匙加減の結果だったりします。


マスコミのそういう習性を知っておけば、フェイクニュースに踊らされることも少なくなると思うのですが・・・

 

以上

フィンランドの次は "日本教育ブーム" になるはずだった

 

先日、「なぜ低学力のフィンランドが1位になったのか?」 というブログ記事の中で、"教育ブームをウソでもいいから信じたいという不気味な人たちが世界に大勢いる" と書きましたが、今回はアメリカで起きた日本教育ブームを取り上げて、外国の教育に関してウソを言いふらす人、また、そのようなウソを必要としている人が世界中にとても多い、ということをご覧いただきたいと思います。

 

New York Times が「日本教育に学べ」

 

2014年7月に New York Timesが "Why Do Americans Stink at Math? (なぜアメリカ人は数学が苦手なのか?)" という記事を掲載しました。書いたのは、Elizabeth Green (@elizwgreen)という、教育系サイトを運営している人で、彼女が書いた "Building A Better Teacher" という本の紹介と宣伝を兼ねた記事になっています。

 

記事のタイトルを見ると、アメリカの数学教育のことが書いてあると思ってしまいますが、著者が日本の小学校を訪問し、そこで取材したことがふんだんに取り上げられています。

記事を私なりに要約すると「"生徒が話し合って解法を探求する"、"教師は一方的に教えない"、"答えを得るのでなく考え方を学ぶ"、"練習問題やドリルはダメ" etc. ・・・といった教育法をアメリカの教育者が提唱して実践したが大失敗した。しかし、日本の教育者がその教育法に興味を示し導入したら成功している。それは、日本人がきちんと根気よくやったからだ、今こそ日本の教育に学べ」というものです。

奇特なことに、この記事を和訳していた人がいたので紹介しておきます。
(読みにくいと感じる人は多いと思いますが、それは翻訳のせいではなく、英語の原文がとても散漫だからです。原文に対するそういう批判もあります。)

zonoshin.blog29.fc2.com

 

ボロクソに批判されるNY Times の記事

 海外で日本の教育を賞賛する声は、1980年代ぐらいからあって、決して珍しいものではありません。今でも日本は国際学力テストの上位の常連ですから、「日本の教育に学べ」というスローガン自体はアメリカ人も違和感なく受け入れると思います。

しかし、この記事の内容は普通に間違っています。なぜなら、著者は、日本でゆとり教育が批判されていること、生徒の大半が塾に行っていること、「百ます計算」など真逆の指導法が評価されていること・・・等々をまったく無視しているからですね。

というわけで、この記事はすぐに批判されます。
もっとも素早く反応したのはブルッキング研究所で、一つ一つ丁寧に検証してボロクソに批判しています。

www.brookings.edu

また、フーバー研究所の Education Next というサイトも批判、

 

 そして、日本からもツッコミが入ります。 

 

批判にも関わらずバカ受け

 結局、この記事は間違いであり、アメリカでダメだった教育法は日本でもダメだった、という身も蓋もない結論が真実のようです。

それにも関わらず、Greenさんのこの記事と著書は大人気で、しばらく彼女は日本教育の専門家として講演会などで活躍します。そして、翌年にはアメリカで最も大きな教育イベントの一つである SXSWEdu の基調講演を務めるまでに登り詰めます。

 

でも、現在、Greenさんは日本教育の専門家として活動することは止めてしまっているようですね。多分、上記のような批判に耐えられなかったのでしょう。つい先日(2019年12月現在)彼女のツイッター・アカウントを検索したら、2016年9月を最後に Japan とか Japanese という単語を含む発言はしていませんでした。

結局、この ”間違いだらけの日本教育ブーム" は短期間で終わりました。よかったですね。日本に逆輸入でもされたりしたら "ゆとり教育が海外で評価された" と有象無象が騒ぎ出していたに違いありません。危ないところでした。

 

しかし、短命で終わったとはいえ、教育界ではなぜこのような間違った記事や本がウケるんでしょうか?
確かに「アメリカで開発された教育法が他の国で成功している」というストーリーはその教育法の信望者のみならず、一般のアメリカ人にもインパクトがあるでしょう。それが原因でしょうか?
 

フィンランドと日本 ー 二つの眉唾教育ブームはアメリカ発か?

 

フィンランドと日本の眉唾教育ブームには、共通点がたくさんあると思いますが、ここで指摘しておきたいのは、両者ともアメリカの教育を採り入れた、と言っていることです。以下の映像をご覧ください(8:46ぐらいから)。

 

 

ウソが多いのでこのブログでもよく取り上げるマイケル・ムーア監督の映画の一部ですが、ここで「フィンランド教育の成功はアメリカの発想によるもの」と語っている人がいますね。この人は、Pasi Sahlberg というフィンランドの教育者で、国際教育学者?の畠山さんによると、以下のような人です。

 

 

畠山さんは、Pasi Sahlberg氏を絶賛しているようですが、この人物はフィンランド教育の宣伝マンみたいな人で、都合の悪い事には一切触れないので話半分に聞いておいた方がよい、と私は思っています。

まぁ、それはともかく、フィンランド教育の第一人者が、フィンランド教育の成功はアメリカの発想だと語っているって、なんか意味深ですね。っていうか、ここで紹介したNY Times の記事と同じシナリオのような・・・。この人、OECDにもいたそうですが、もしかしてPISAテストにも関わっていたのかな?

こうした事実を前にすると、この二つの眉唾教育ブームは、自分達の信じる教育法が失敗の烙印を押されたことに我慢できないアメリカの教育者とその信望者たちが、国際学会などを通じてその教育法を他国や国際機関(OECD)に売り込んだ結果なんじゃないか?、という疑念が出てきます。
ウソだとすぐばれるような "偽サクセス・ストーリー" が人気を博するのも、そういうことなら理解できます。

 なにか陰謀じみて聞こえるかもしれませんが、そもそも教育学というところは世界的に欧米の学者が支配的で、今さら陰謀をめぐらす必要もないほどひどく偏向しており、日本やフィンランドの教育学者は彼らの金魚のフンみたいなことをやって喜んでいる・・・ という話しはまた別の機会にしたいと思います。

 

以上

スウェーデンの犯罪統計が信用できない

(初出:「北欧ゴリ押し」ウォッチ 2019年5月20日

 

先日は、スウェーデンにおけるレイプの実態について書きました。

yasemete.hatenablog.com

 

スウェーデンは、「同意なきセックス」とか「夫婦間のレイプ」を取り締まるワンランク上のフェミニスト先進国かと思いきや、現実は正反対で、一般国民はガチ・レイプに怯えている、という内容でしたね。

 

今回は、窃盗事件をチェックしてみます。

 

減少する窃盗事件・・・の統計

 

スウェーデンでは全般的に犯罪が増加していて治安が悪くなっているのですが、なぜか窃盗関連事件(スリから銀行強盗まで含む)は減少しています。

スウェーデン国家防犯局(Brå)によると、2014年は540,000件だったのが2018年は445,000件と、5年間で約17%の減少です。

 

こういう統計だけを取上げて、"キャッシュレスにしたから盗難が減った" とか、テキトーなことを言いだすマスコミ(Guardian)も出てくるわけですが、銃撃事件やレイプが増えているのに窃盗だけが減っているって、どうも納得いきませんね。
なぜ減ったのかを考える前に、本当に減っているのかを検証しなければいけないと思います。

 

通報を諦める商店

 

統計とは裏腹に、スウェーデンでは多くの店舗経営者が万引や窃盗の多さに悲鳴を上げています。

例えば、以下の記事は、スウェーデン西部 Kungsbackaで食料品店の店主が万引に悩まされていることを伝えています。

 

「窃盗を何度も捕まえたけど、警察の捜査や裁判に行くのはごくわずか、ほとんど無罪放免にしてしまうので、万引きしてもOKと言ってるようなもの」、と店主は嘆いています。

また、以下の記事では、ストックホルムにあるスーパー経営者の話しを紹介していますが、

 

 

「万引や窃盗は日常的。週に一度は店員が "殺すぞ" と脅迫を受ける。12月には集団万引を止めようとした店員が怪我をして入院した」と語っています。

統計上では窃盗は減少していることを伝えると、「それは犯罪が減ったからではない。警察が捜査しないから通報しなくなっただけ」とのこと。

 

さらに、流通系の企業団体 Svensk Handel も、「窃盗が減っている」という国家防犯局(Brå)のレポートに反論。

 

 

窃盗の統計が減っているのは通報する人が減っているから、と先の店主と同様の主張をしています。

 

警察力の不足-「最低被害金額」以上じゃないと捜査しない

 

一方、警察の対応の方はというと、「警察は捜査しない」という商店主たちの証言を裏付けるような事実が報道されています。

例えば、スウェーデン南部のクリシャンスタードの警察は、人員が足りないので事件に優先順位をつけて捜査するよう現場に指導しているそうです。

 

 

銃撃事件等の凶悪事件を優先するようにと書いてあるので、窃盗事件の優先順位は当然低いことでしょう。

 

また、いくつかのスウェーデンの警察は捜査の「最低被害金額」を設定しているようです。先の Kungsbackaでは、60クローナ(700円ぐらい)以下は捜査しないことになっている、とのこと。
また、ストックホルムの警察は5,000クローナ(55,000円ぐらい)以下の詐欺?は捜査しない、という報道がありました。

 

 

捜査の最低金額を公表するってことは、つまり、それ以下ならどうぞご自由に、と言っているようなもんでしょう。
それとも、少額の被害に警察力を使うのはムダ、とするのが合理的だとでも思っているんでしょうか?「1円でも犯罪は犯罪」というラインを守るからこそ、抑止効果や教育効果が出るわけで、そういう効果を全て放棄するのは合理的でもなんでもない、と思いますが・・・

 

いずれにしろ、窃盗なんぞにかまっていられないほど警察力が不足しているということは確かなようですね。

 

スウェーデンは犯罪暗数製造工場か

 

ここまで読んで、統計が示す通りスウェーデンの窃盗犯罪が減っている、とお気楽に考える人はあまりいないと思いますが、警察が捜査しないから通報しない、って、レイプと根は同じですな。犯罪の暗数もさぞかし多いことでしょう。
まさか、通報を諦めさせて統計を整えるのがスウェーデン政府の方針だったりして・・・・

 

そんな中、スウェーデン政府は警察予算の削減を決めたようです。以下の記事は、予算削減に抗議する野党のみなさん。

 

 

警察予算を狙い撃ちして削減したわけじゃないと思いますが、警察力を強化する気はないんでしょうか?
統計上の犯罪件数減少 → 予算削減 → 警察弱体化 → 通報減少 → 統計上の犯罪件数また減少・・・というスパイラルになったら犯罪暗数製造工場になっちゃいますよ。
レイプといい、窃盗といい、スウェーデン政府は「治安の悪化を見たくない」という病気に罹っているんじゃないでしょうか。「調査の結果イジメはなかった」と言い張る日本の教育委員会と変わりありません。映画化するとしたら、まさにこんな感じ↓。

 

以上

 

なぜ低学力のフィンランドが1位になったのか?

以前、「ウソが多すぎるフィンランド情報」の中で、“PISAという学力テストそのものが怪しいという話しがある”、と書きましたが、今回はフィンランドの教育政策と国際学力テストPISA及びテスト主催者であるOECDについて書きたいと思います。

 

分数ができない生徒の学力は高くない

 

まず、フィンランドの生徒の学力がとても低いということを確認しておきましょう。別の記事でも引用しましたが、もうひとつの国際学力テストTIMSSでフィンランドの生徒の8割以上が分数の計算問題ができなかった、という事実ですね。

 

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2011年国際学力テストTIMSSで出された分数計算の問題 フィンランドの正解率は16%


 通分が理解できてないので分数の計算ができないようです。

また、以下の現地メディアの記事は、"9学年生(中三ぐらい)の3分の2がパーセンテージの計算ができず、買い物をするときに値引き計算ができない" と書いています。上のテストの結果と呼応していますね。

yle.fi

 

よく言われるように、分数で躓く子供は多く、いわば教師の腕の見せ所なわけですが、フィンランドの子供達ほとんどがここで躓いています。先生の指導力も高いとは言えないでしょう。 

ところで、こうした事実を示しても "分数なんて必要じゃない、フィンランドの教育はすごいんだ" と言い包めようとする人がたまにいますが、無理あり過ぎです。分数やパーセンテージを理解していなかったら後でかなり影響しますよ。
それに、日本で子供達の学力がこんなに低かったら大きな社会問題になっているでしょう。
従って、フィンランドの生徒の学力が髙い、と言ってはいけないのです。

 

OECDの秘蔵っ子だったフィンランド

 

このように学力の低いフィンランドOECDPISAという学力テストで1位になった背景について、オーストラリア、ニューイングランド大学の高山先生は以下のように述べています。

 

First, the OECD has actively promoted Finnish education as the global model of educational excellence. At the same time, Finnish education scholars ... maintain that since the 1990s the Finnish government has been "too eager to comply" with the OECD's policy recommendations. The OECD's promotion of Finnish education thus warrants some caution, as it actually serves to legitimize the OECD's educational policy directions and its role as the "global think-thank" in education policy matters. 

OECDフィンランドの教育を世界の教育モデルとして強力に推してきた。同時に、フィンランドの教育学者達によると、フィンランド政府は1990年代以来OECDの政策提言を熱烈に受入れてきた。つまり、OECDが自らの教育政策方針を正当化し、教育政策の国際シンクタンクとしての地位を築くため、フィンランドが利用されてきた。だから、OECDフィンランド推しには注意が必要。

 

つまり、フィンランドは、OECDの秘蔵っ子みたいなもので、教育政策に関しては言いなりになっていたというわけですね。
フィンランドの数学の授業は「PISA数学」になっている、という指摘もあるのですが(柴田勝征著「フィンランド教育の批判的検討」P156)、こうした背景があるなら、授業が "PISA試験対策" になっていたとしても何の不思議もありません。

フィンランド教育を礼賛する人はよく、フィンランド・メソッドなるものを想定し、それを創り出したフィンランドの教育者や国民を口を極めて美化しますが、実際は、OECDの言う通りにしていただけだったと聞いたら何て言うんでしょうか。本当にシラケますね。

もっとヤバイのは、テストの主催者たるOECDに、特定の国(あるいは教育政策)をプッシュしたいという意図があったということになると、国際学力テストPISAは、忖度、談合、手心、依怙贔屓、不正 etc...といった誹りを逃れられなくなる、ということです。とんだ茶番だった、と邪推する人も出てくるでしょう。
しかも、そのように邪推すると、"なぜ学力の低い国が1位になったのか?" という疑問が一気に解決してしまうので、本当にヤバイですね。

 

PISAの数学のテストは数学の知識が要らない

 

こうした背景を踏まえて、巷にあるPISAテスト批判をいくつか紹介してみたいと思います。

PISAテストは基本的に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3科目からなっていますが、数学や科学のテストでは、数学や科学の知識や技能が要求されない、という指摘がいくつかあります。

たとえば、元高校教師の神原敬夫さんは、PISAの科学の問題について、以下のように述べています。

 

生徒たちは特段の科学的知識を要求されるわけではありません。その「科学的」説明や科学に関する諸説について理解できることこそが目的とされているからです。

 

PISA調査は、知識より応用という考えが強いようだが、たとえば、溶液の知識を問わず、その先にある公害問題を問うていて、はたしてそれで、科学的リテラシーの問題と言えるのだろうか。科学的知識や論理はほとんど必要とされない。

 

また、数学の問題について、ヘルシンキ大学のMarjatta NäätänenさんとLiisa Näveri さんは、On mathematics teaching in Finland の中で、以下のように語っています。

 

The PISA survey leaves us, thus, with unanswered questions regarding many skills, like computing with factions, solving elementary equations, making geometrical deductions, computing volumes of solid objects, and handling algebraic expressions.

PISA調査は、分数の計算、初歩的な方程式の解法、図形的推論、立方体の容積計算、代数式の扱いなど、多くのスキルに関して我々に何も教えてくれない。

  

数学の知識の要らない数学のテスト・・・、これなら分数が解っていない生徒でもできちゃいますね。

 

問題冊子によって結果が違う

 

PISA統計学的な問題を追及しているドイツ、ユーリッヒ研究センターの Joachim Wuttke博士は、Uncertainties and Bias in PISA の中で、以下のようなことに言及しています。

 

The largest difference occurs in the USA: students who worked on booklet 2 were estimated to have a math competence of 444, whereas those who worked on booklet 10 achieves 512 points.

最も大きな差はアメリカで見られた:問題冊子2をやった生徒は444点だったが、問題冊子10をやった人は512点だった。

 

つまり、PISAテストでは、(受験者全員が同じ問題をやるのではなく)数種類ある問題冊子のうちの一つが受験者に渡されるが、問題冊子2をやった生徒と問題冊子10をやった生徒では60点以上の差が出た、ということらしいんですね。

これ、マジすか? 
テストをどう運用しているのか見たこともないので断定的なことは言えませんが、これが本当なら、プッシュしたい国には分数の計算など要らない簡単な問題冊子を渡して・・・ということもできてしまう、と邪推してしまいます。

海外ではPISA批判というのはかなり行われて、ここで取り上げたのはほんの一部です。しかし、日本ではPISA批判は少なく、上に挙げた方たちは本当に例外的なようです。礼賛ばかりしていないで、少しはクリティカル・シンキングして欲しいものですね。

 

 以上、OECDPISAテストは怪しい、ということを書いてみました。
しかしながら、PISAテストは「フィンランド教育ブーム」のきっかけではあるものの、"この教育ブームをウソでもいいから信じたい" という不気味な人たちが世界に大勢いることの方が問題だと思っています。そういう人たちがなぜ発生するのか?、ということを考える上で、次は日本のケースを取上げたいと思います。といのも、数年前、海外で日本教育ブームが起こりそうになったことがあったからです。

【ツイートまとめ】スウェーデンの荒れる学校

スウェーデンの荒れる学校

 

 

 

痴漢大国フランス

(初出:「北欧ゴリ押し」ウォッチ 2019年4月13日


フランスの痴漢事情については、いつかまとめておこうと思っていたのですが、記事にできるぐらいニュースが集まったので、書いておきます。
フランスは北欧じゃありませんが、一応、最後にスウェーデンも出てきますよ。

 

フランスの痴漢被害は2年間で26万人超:フランス人女性はスカートを穿かない


フランスのONDRP(犯罪データ庁?)が、公共交通機関における性犯罪に関して調査を行い、2014年と2015年の2年間に痴漢被害に遭った人は267,000人、と発表しました。

 

集計方法がいまいち解からないですが、26万人ってすごいですね。

16万人近くが無理やりキスや "お触り" をされ、11万人以上が露出狂に遭った、とも書いてあります。
無理矢理キスもイヤだけど、露出狂も凄まじい。車内でされたら逃げ場ないですよ。しかし、11万人っていうことは、そこいら中で "出す" 人がいることになりますが、本当かなぁ。

また、Fnaut(公共交通機関利用者連合?)の調査では、アンケートに答えた女性の9割が性被害に遭っていると答え、そのうちの半数は、痴漢に遭わないようにスカートを穿かず、ズボンにしているそうです。

 

フランスの通勤時の電車やバスってどのくらい混雑しているのか知りませんが、日本ほどじゃないと思うんですよね。それなのに、この有様ですから痴漢大国と言っていいでしょう。

 

フランスの痴漢対策:地下鉄は危ない駅には停車しない

 

こうした事態に、フランス当局は手をこまねいているわけではありません。

まず、痴漢防止ポスターを作って、痴漢撲滅を呼掛けています。
以下は、ボルドー市の痴漢撃退啓発ポスター。

 

 

昔の "自販機本" のようなテイストで、レトロ感溢れる作品ですね。

 

また、以下はパリ交通公団が作った痴漢防止ポスターです。電車内を描いているとは思えないデザインですが、痴漢を動物に見立てて注意喚起しています。

 

ちなみに、このポスターには「加害者はクマさんじゃなくて男だろ(フェミニスト団体)」とか「動物に対する敬意がない(自然保護団体)」という批判があったそうです。

 

また、パリ市の路線バスは、既定のバス停以外でも降りることができるようなシステムを検討しています。

 

バス停から自宅までの歩く距離を極力短くして跡をつけてくるストーカーを減らす、というのが目的らしいです。この記事では、試験的に導入と書いてありますが、その後、実用化したのかどうかちょっと判りません。

さらに、パリの地下鉄の運転手は、乗客を守るため、いくつかの危険な駅には停車せず通過してもよいことになっているそうです。

 

 

これは、痴漢対策というより薬物中毒者対策です。でも、駅で一発キメたエロい人が乗り込んできて、車内で獲物を物色し始めたら大変ですから、通過して正解ですね。あ、でも、駅にいる人はどうなっちゃうんだろ・・・
とにかく、フランスの地下鉄はそれぐらい危険だということです。

 

ノーベル文学賞を吹っ飛ばしたのはフランス人の痴漢


以上のように、フランスでは痴漢が大きな問題となっていることがお分かりいただけたと思いますが、最後に大物の痴漢をご紹介します。写真家の Jean-Claude Arnault さんです。

 

2018年のノーベル文学賞は残念ながら発表が見送られましたが、その原因は、選考委員 Katerina Frostenson 氏の夫である Arnault氏が犯した数々のセクハラ行為(っていうかレイプ)でした。

 

で、この人、10年ぐらい前、何かのイベントの最中、スウェーデン皇太子妃のお尻をまさぐっているところを見つかって、問題になったことがあるんですよね。

 

その時は、側近が間に割って入ったそうですが、それ以来、スウェーデン王室は彼をマークして、皇太子妃と二人っきりにさせないよう注意を払うようになったとか・・・

外国の皇太子妃に痴漢する人がいるとは、痴漢大国の貫禄十分。みのもんたもびっくりですね!

 

以上

 

参考:100年前、すでにパリには痴漢がいた 1910年には女性専用車の提言が

www.huffingtonpost.jp