「北欧ゴリ押し」ウォッチ

「北欧を見習え」というチープなゴリ押しにうんざりしていませんか?

ゴリゴリ押しても日本では流行りそうにないデンマークの「ヒュッゲ」

(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月18日

 

ヒュッゲ(hygge)って聞いたことありますか?
世界一幸福な国デンマーク流の心地よい人生の楽しみ方で、欧米で流行ってるらしいんです。

 

日本にも来る?欧米でブーム「ヒュッゲ」とは? (東洋経済

 

″世界一幸せな国” デンマーク生まれのほっこり系ライフスタイル「ヒュッゲ」とは何か? (クーリエ・ジャポン

 

日本人にとってはいまいち語感がよくないですね。ユッケと間違えそうだし。
でも、それ以上に中身が分かりにくい。
「ヒュッゲって何?私も早く流行に追いつきたい」と思ってる人は何をすればいいのでしょうか?

東洋経済の記事には、

 

・・・それは木の椀のぬくもりやビンテージの織物を愛でることであり、恋人と一緒に歯磨きをしたり、全裸で時間を過ごしたりすることであり、吊り下げの照明具、丸テーブル、焦げた木ベラ、古い靴、ガチョウの鳴き声、洗い立てのシワの入ったシャツにヒュッゲを見出す。

 

他には、暖炉の前でコーヒーを飲むこととか、友人をディナーに呼ぶことなんかも書いてあるんだけど・・・、コタツにミカンじゃダメですか?って聞きたくなる。
要するに、普段通り生活していればいいのかなぁ。でも、それではブームって言えないような・・・。

一方、マイケル・ブース氏は「限りなく完璧に近い人々」の中でヒュッゲについてこんな風に書いています。

 

・・・デンマーク独特の親密性や仲の良さを表す言葉で、一見、和気あいあいとした肩肘を張らないようなもののようでいて、実は高度に系統立った、厳密な行動規範を持つもので、その場にいる全員が、その独特の親密さに同調するよう圧力を受ける。(「限りなく完璧に近い人々」P131)

 

うーむ、なんか心地よいというより、村の掟とか同調圧力っていうのを思い出しますね。

 

これって本当に欧米で流行ってるんでしょうか?

フィンランドの出生率が歴史的低水準、原因は「ネウボラ」?

(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月14日

 

BBCのフェイクニュースで育児政策が混乱」の記事でお伝えしたケースもそうですが、最近、フィンランド子育て支援策が世界中いろいろなところでプッシュされています。
ただ、事実に反した「ゴリ押し」的なところが多々あるので気を付けましょう。

 

以下は日本の例です。

 

一部のメディアが「ネウボラ」というフィンランドの育児政策を熱心に紹介しています。何が素晴らしいのか、いまいちわかりにくいコンセプトではありますが、例のベビーボックスなんかも含まれるようですね、たぶん。

これを大プッシュしているメディアのひとつがハフィントンポストです。その記事によると、ネウボラは「出生率を伸ばした」ということなのですが、

 


これには致命的な間違いがあります。
というのも、フィンランド出生率は歴史的低水準になっているからです。

 


したがって、「フィンランド出生率が劇下がり、原因はネウボラか?」という報道ならまだしも、「出生率を伸ばした」というのは事実に反しています。
というか単なるウソです。

BBCのフェイク記事もグラフとかでていて「サイエンス仕立て」にしていましたが、本当に怪しいですね。
とくに少子化に悩む日本にとって、「出生率を伸ばした」というフレーズは実に魅力的ですから、テキはこういう弱いところを突いてきます。

気を付けましょう。

 

BBCのフェイクニュースで育児政策が混乱

(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月14日

 

赤ちゃんをダンボール箱に寝かせると死亡する率が低くなるって聞いたことありますか?

ちょっと前、イギリスのBBCがそういう報道をしました。フィンランドではダンボール箱に赤ちゃんを寝かせるから乳児死亡率が下がったのだ、と。

 


(なんと日本語に訳しているところがありました)

フィンランドでは妊娠すると育児用品がいろいろ入ったベビーボックスが支給されるんですが、その箱に子供を寝かすわけですね。
BBCの記事にはグラフなんかもあって、乳児死亡率が激しく下がってる、ダンボールってすごい!

でも、乳児死亡率とダンボールってどういう関係なのか? 謎ですね。
写真を見ただけで、「火がついたら怖いなぁ」なんて思ってしまいました。

 

でも、まぁ天下のBBCの報道ということもあって、実際にダンボール箱を導入するところが出てきました。

 

ところが、最近、BBCは事実上の訂正記事をだし、ダンボール箱を使わない国でも乳児死亡率は低下してきたとか、言い出しました。

 


上の記事では、医療や衛生状態の改善が乳児死亡率を低下させるなんて書いてあるんだけど、そんなこと誰でも知ってまんがな。

それでも、ベビーボックスで儲けた会社は「ダンボール箱の効果を証明する研究が、これから出版されるんだ」と言い張っているようですが・・・。結局、フェイクニュースだったんでしょ?

 

だいたい、育児用品を国や自治体が支給するのって感心しませんね。
使用者が商品を選べないでじゃないですか、子供の服を買ったりするのって、両親や祖父母の大きな楽しみなのに。

それに公的なところがこういうことをやると、粗悪品に高い金を出すことになるんですよね、「指定業者で買う学校の制服」みたいに。

教育有料化やリストラに動く北欧の高等教育 ー その2

(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月12日

 

教育有料化やリストラに動く北欧の高等教育 ー その1から続く)

以前は、デンマ―クも留学生の学費は無料だったそうですが、今はEU圏外からの学生は有料だそうです。
でも、自国の学生の学費は無料。それに加えて生活費も出るとのこと。
すごい大盤振る舞い。

 

しかし、やはり予算がもたないようで、学部や教員のリストラに動いています。

 

そして、それに抗議する学生。

 


デモやるぐらいだから怒ってるのかと思ったら、そうでもないですね。みんな笑顔だし、なんか「ワクワク感」が漂ってる。
そこのお姉ちゃんなんか、デモの後の飲み会で頭一杯って感じ。

 

また、最近複数の分野で学位をとることを制限する法律ができたそうです。下は、それに抗議する学生たち。
いくらなんでも甘えすぎだろ。

 


まぁ、一言いいたくなりますね。

教育有料化やリストラに動く北欧の高等教育 ー その1

(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月12日

 

留学生でも学費が無料だった北欧諸国が、有料化や学部・教員のリストラに動いています。

まず、スウェ―デンは2011年からEU圏外からの留学生の学費が有料になりました。

 

スウェーデンへの大学・大学院留学が難しくなっている。

近年のスウェ―デンの留学制度の変更で、一番大きなインパクトになったのが、「EU圏以外の留学生の学費有料化」です。

 

 

フィンランドも無料ではなくなります。

 

フィンランドでは今年からEU圏外の留学生は有料となります。

どうやらフィンランドも2017年から日本人が学費を負担しなければいけなくなるようです。

 

また、フィンランドでは自国の学生に関しても学費有料化の議論が出ており、

 

 

教育や保育に予算が行ってしまうので医療制度が崩壊しているという恨み節も・・・。

 

教育有料化やリストラに動く北欧 ー その2

北欧ブランドに頼り過ぎてフェイクニュース - NHKの番組から2本

(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月6日

 

外国のことを引き合いに出して、何かを主張したり批判することってありますよね。「アメリカでやってる」とか「ドイツから学べ」というアレです。

日本人は海外の話に弱いと思っている人は多いと思いますが、外国でも「日本に学べ」みたいなのがありますから、お互い様なのかもしれません。

ともかく、そういうときに使用されるワンランク上の国がやはり北欧ですよね。
でも、最近北欧ブランドに頼り過ぎた記事や番組が目立ちます。そういう安易な記事や番組を作るのはたしかに楽ですが、楽をすればやはりボロが出ます。

そんな杜撰な番組作りの好例がNHKにありましたので紹介します。

ひとつは「先読み、夕方ニュース」です。

 


(番組のリンクはこちら

番組の紹介文では「深刻な少子化に悩む日本にとって大事な取り組みがネウボラ」なんて書いてありますが、前にも指摘したように、フィンランド出生率は歴史的低水準になっています。

 


北欧ブランドに頼り切っちゃって取材も調査もしてないんですかね。

もうひとつは、教育テレビのハートフルネットTVです。

(番組のリンクはこちら

番組の紹介文に相模原事件が出てくるので、外国の無差別殺傷事件について少しは言及があってもよさそうなものですが、そういうものはなく、フィンランドで行われているオープンダイアローグという精神療法の紹介だけでした。

「相模原事件を受けて」、この精神療法を成功例として紹介すれば、当然、「これを導入すれば無差別殺人はなくなるよ」というメッセージになるわけですが、どっこいフィンランドは無差別殺傷事件のかなり多い所です。

教育大国フィンランドで若者の学校襲撃が止まらない」の記事で紹介したように、若い女の子が学校襲撃を企てたりしているわけで、こういう事実を知ってしまうと、「その療法って本当に成功してんの?」って、むしろ疑問に思ってしまいますよね。

ネウボラもオープンダイアローグもそうですが、都合の悪い事実を無視して(あるいは隠して)「成功だ!」とか「必要だ!」とか騒ぐのがパターンになっていませんか?これでは今流行りのフェイクニュースでしょう。

ブランド力に頼ることは、「北欧出しときゃいいだろ」とか「どうせわかりゃしねーよ」という視聴者を舐めた態度と紙一重です。悪用していろんなものをねじ込んでくる人もいますので、ご注意を。

どうもフィンランドネタが多くなってしまうのですが、今一番マスコミに使い回されてるんで仕方ないです。

実はまだあるんですよね。

 

教育大国フィンランドで若者の学校襲撃が止まらない

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教育大国フィンランドで学校銃乱射事件


(初出:ゴリ押し北欧 Watch 2017年4月5日

 

世界一の教育と評判のフィンランドですが、期待に反して学力が「ダメだこりゃ」レベルだったことは最近ネットでも話題になりました。

 


実は「学力低下」よりヤバイことが起こっています。いわゆる、キレル若者なんですが、「校内暴力」なんて可愛いものではなく、❝宅間守級❞ の学校襲撃です。若い女性が主役であるところが特徴です。

 


協力者がいるというところが恐いですね。

また、11月には別の町で3人の女の子がやはり学校襲撃を企てて拘束されました。

 


そして、12月には事件が起こってしまいました。無差別銃乱射とのことですが、政治家とジャーナリストの方が犠牲になりました。犯人は女性ではなく、若い男性ですが・・・、

 


フィンランドでは、07年と08年にもとても大きな学校襲撃事件があったようです。私が北欧に注目しはじめてから日が浅いですが、その間にこれだけキレル若者がいるのですから、未遂を含めれば日ごろからあることなのかもしれません。

 

学力は低いし暴力事件は頻発・・・。これって見習うべきお手本なのでしょうか?

ちなみにフィンランドは教育への公的支出が高い国です。

 


最近、教育無償化とか教育国債とかの議論が盛んですが、みなさん「金を出せば教育が良くなる」と思っていませんか?

金を出せば自動的に教育が良くなるわけではありません。悪くなることもあります。
教育にバンバン金を使った挙句、分数計算のできる中学生がいなくなり、女子学生が学校を銃で襲撃するようになったらどうします?

もう少し良く考えるべきだと思うのですが・・・。

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